\chapter{関連研究}

\section{前提条件}
\label{承初}
本研究は前提条件を多重連結領域上で非圧縮性，非粘性の性質を持つ構造安定な
流れであることとし，以下に前提条件についての説明をする．1つの障害物を持
つ領域を単連結領域，複数の障害物を持つ領域のことを多重連結領域という．非
圧縮性は連続体の密度が変形の前後で変化せず常に－定である性質，非粘性は力
に対する抵抗のない性質である．構造安定性は小さな乱れが加わっても構造が変
化しない性質で流れの研究においては流れのトポロジーが変化しないことをいう．
トポロジーは形を変形させても変わらない性質のことで例を上げると浮輪とカッ
プはトポロジー的にいえば変形すれば同じといえるが，浮輪は変形してもボール
にはならない．

\section{流れの構成要素}
2.1節の前提条件を満たす流線は、軌道と点によって構成されている.その軌道と
点には名称が付けられており、文献[6]をもとに作成した図2.1にしたがってその
名称を記述する。また,障害物が存在したり流れが発生しない領域外の部分は黒
く塗りつぶして表現されている.この塗りつぶされている部分と塗りつぶされて
いない部分の堺を境界と呼ぶ.まず、吸い込み湧き出し対から出て境界上につな
がる軌道を(b)$ss-\delta -saddle\quad connection$とし,吸い込み湧き出し対から出て
同じ吸い込み湧き出し対に戻ってくる軌道を(a)$ss-orbit$とする.そして$ss-orbit$
の軌道につながっている境界上の点を(c)$ss-\delta -saddle$とする.次に,図2.1
の(h)の様な点を(h)$saddle\quad point$と呼ぶ.この$saddle\quad point$から出て同じ
$saddlle\quad point$に戻ってくるような軌道を(i)$homoclinic\quad saddle\quad connection$とし,吸い込
み湧き出し対から出て$saddle\quad point$につながるような軌道を
(f)$ss-saddle-connection$とする.境界上の点から出て同じ境界上につながる軌道
を(e)$\delta -saddle-contion$,この軌道とつながっている境界上の点を
(d)$\delta -saddle$とする.最後に、境界や渦の周りにできる閉曲線軌道を
(g)$closed\quad orbit$とする.構造安定な流れはこれらの組み合わせで全て説明することが出来る.

\section{初期パターン}
初期パターンとは，障害物，渦構造，停留点の合計 Mが0または1個の構造安定な
流れの初期構造となるものでMが0個の構造安定な流れはパターンⅠとパターンⅡ
の2パターン存在する．パターンIは吸い込み湧き出し対から出る2つの
$ss-\delta -saddle\quad connections$を持つ．パターンIIは吸い込み湧き出し
対から出る2つの$ss-\delta -saddle\quad connections$に加え
$homoclinic\quad saddle\quad point$を持つ．また，
吸い込み湧き出し対を持たない流れの他にMが1個の構造安定な流れパターンOが
存在する．パターンOは$closed\quad orbits$を持つ流れである．以上の3つのパターン
を初期パターンとする．この初期パターンに木文法の構成要素を対応させるとパ
ターンIを${a_Φ,(a_2)}$，パターンIIを${a_Φ(a_+),a_Φ(a_-)}$，パターンO
を${b_{Φ+}，b_{Φ-}}$と表す.

\begin{figure}[h]
 \centering
 \includegraphics[height=1.8cm]{syokipattern.png}
 \caption{初期パターン}
\label{fig:初期パターン}
\end{figure}

\section{5つの操作}
構造安定な流れの流線に対してMを1つとそれに伴う流れの構造を追加することで
新たに構造安定な流れを維持しながらこれらを可能にする操作はA0，A2，B0，B2，
Cの5つのみとされている．木文法ではA0を$a_+,a_-$，$A2$を{$a_2$}，B0を
{$b_{++},b_{--},b_{+-},b_-{c_+}$}，B2を{$β_+{c_+},β_-{c_-}$}，Cを
{$c_+,c_-$}と表す.

\begin{figure}[h]
 \centering
 \includegraphics[height=1.8cm]{5control.png}
 \caption{木文法の５つの操作に現れる流線}
\label{fig:木文法の５つの操作に現れる流線}
\end{figure}

\section{木文法}
開始記号$S$，非終端記号の集合$N={S,A,B_+,B_-,C_+,C_-,C_+^*,C_-^*}$，終端記
号の集合$F=F_ε \lor F_A \lor F_B \lor F_C \lor {l,λ,cons(,)}$，生成規
則Rである．終端記号$F$は
$F=F_ε{a(),b_+(,{}),b_-(,{})},F_A={a_+(),a_-(),a2()},F_B={b_{++}{,},b_{+-},(,),b_{--}{,},b_{-+}(,),β_+{},β_-{}},F_C={c_+(,),c_-(,)}$
とそれぞれが初期パターン，A系，B系，C系の操作によって現れる流線を表して
いる．生成規則は以下のように記述する．

\begin{align*}
&S\rightarrow a_Φ(A^*)|b_{Φ+}(B_+,{C_-^*})|b_{Φ-}(B_-,{C_+^*})\\
&A\rightarrow a_+(B_+)|a_-(B_-)|a_2(C_+^*,C_-^*)\\
&A\rightarrow λ|A・A^*\\
&B_+\rightarrow l|b_{++}{B_+,B_+}|b_{+-}(B_+,B_-)|β_+{C_+^*}\\
&B_-\rightarrow l|b_{--}{B_-,B_-}|b_{+-}(B_-,B_+)|β_-{C_-^*}\\
&C_+\rightarrow c_+(B_+,C_-^*)\\
&C_-\rightarrow c_-(B_-C_+^*)\\
&C_+^*\rightarrow λ|(C_+,C_+^*)\\
&C_-^*\rightarrow λ|(C_-,C_-^*)
\end{align*}

