\chapter{はじめに}

\section{流体力学の背景}
\label{sec:流体力学の背景}
流体力学は，気体や液体の運動について取り扱う力学の主要な研究分野である．流体力学の歴史は古く，この学問が確立される以前から人々の生活に即したものとして発展してきた．近年では，コンピュータの発達により流体方程式から数値解を求め流れを精密に計算することが可能となった．この手法は数値解析と呼ばれ，事故や災害などの実験不可能な課題も計算できる利点を持った近年の主要な流体力学の解析手法である．

\section{流体の離散解析}
\label{sec:流体の離散解析}
離散解析は流体解析の一手法であり，前節で述べた数値解析に対照的である．離散解析は流れをトポロジカルな観点から解析する．トポロジカルな観点に着目することは大域的な構造に着目するということを意味し，これにより流れの本質的な構造を抜き出すことが可能となる．つまり流れの大枠に着目した解析を行いたい場合，離散解析を用いることで効率的に流れの解析を進められるということである．この解析法の代表的なアプローチとして，流体をその構造安定性に着目して解析する方法がある．構造安定性は，力学系に小さな乱れが加わっても流れのトポロジーが変化しない性質のことである．トポロジーは位相幾何学の用語であり，この立場に立てば，連続的に変形できる図形は同じ形である．例えば，四角形と三角形は同じ形である．構造安定性は一般の流体にはあり得ないが，文献\cite{トポロジカルな流れ構造の理解へ向けて}によれば，有限の制度や有限の時間における挙動に着目したり，本質的な構造に着目するなどの現実的な目的の範囲内であれば，現実の流体にもこの考え方が適応できる．構造安定性に着目すれば，構造安定性から流れの変化を考察することができるようになる．例えば，語表現の研究では流れのトポロジーに対して対応した文字列を定義することで，二つの流体構造の中間構造を文字列の変化として考察することが可能となった\cite{WOTFV}．

\section{本研究の目的}
\label{sec:本研究の目的}
本研究は，離散解析手法の一つである木表現に対して，図上への可視化手法を与える．ここで，木表現には種類がいくつか存在するが，本研究で扱う木表現は\cite{円盤上の非圧縮流の反転の解析}によって与えられた手法である．また，以下で木表現とはこのアルゴリズムを指す．木表現は流線構造を代数的に扱い流れの解析を行うことができるが，その表現から直感的に二次元上の流れの形状を把握することは困難である．そのため，二次元の形状を得たい場合は解析者がその都度木表現を組み合わせて図化することになるが，木表現が複雑になればなるほどその変換も煩雑になり，ともすれば途中で間違った変換を行ってしまうこともあり得る．また，論文などに木表現の図を入れようとした場合，描画ソフトを用いて図を手作業で書く必要がある．本研究は木表現を図に自動的に変換する方法を与えることで，解析者の効率的で確実な木文法による流れの解析に寄与するものである．

\section{アプローチ}
本研究では，トポロジーを二次元上に自動的に表現するプログラムを作成するにあたり，最初に完成したプログラムが満たすべき条件を定義した．そして，その定義をもとにPythonとAsynptoteの2つのプログラミング言語を使用しプログラムを作成した．

% 共同研究の場合は、各人の役割分担および執筆分担を明確に記述する。
\section{役割分担}

南山太郎は主にこの部分を担当し、
第1章、第2章、および3.1節を執筆した。
南山花子は主にあの部分を担当し、
3.2節、第4章、および付録AとBの説明文を執筆した。
