可逆計算に関する余談
余談1:情報とエネルギーとモノは「同じ」
- E = mc2 が示すものは?
- E: エネルギー,m: 質量,c: 光束
- アルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論から得られる式
- エネルギーと質量の等価性,「モノだってエネルギーなんだ」(高エネルギー加速器研究機構)
- 無(エネルギーのみ)から質量が生まれる(対生成)ことは1932年に観測された.
- ランダウアの原理: E ≥ kT ln Ω が示すものは?
- E: エネルギー,k: ボルツマン定数(約1.38×10−23 J/K),T: 絶対温度,ln: 自然対数,Ω: 状態数
- 例:常温(293.15 K),2状態(1ビット,0 or 1, 1シャノン)で考えると E ≥ kT ln 2 ≒ 2.75 zJ = 2.75×10-21 J.すなわち,(非可逆過程では)1ビットの情報を失うと最低でも2.75×10-21 Jの熱が放出される.2012年に観測された.
- Emin = kT ln Ω が示すものは?
- 情報とエネルギーの等価性,「情報だってエネルギーなんだ」
- 情報をエネルギーに変換する実験に成功したという報告(2010年,中央大学理工学部物理学科と東京大学理学系研究科).(紹介記事,日経サイエンスに良い入門用記事がある)
- 情報熱力学
- 「マクスウェルの悪魔」のパラドックスはない.記憶が消されるときに熱の放出があるとするならば.
余談2:これまでの流れ
- IBMのロルフ・ランダウアー
- 非可逆な計算過程には非可逆な物理過程による実現が必要であり,情報の消去のような非可逆計算には熱の放出が必要である(1961年,ランダウアの原理).熱力学の第二法則からの帰結.
- Q1: 計算には熱の放出が不可欠なのではないだろうか?
- IBM Research のチャールズ・ベネット
- A1: 可逆な計算によって放出される熱の下限は存在しない(1973年).
余談3:技術的特異点(シンギュラリティ)の提唱者によると,,,
今後数十年間で、コンピューティングはリバーシブル・コンピューティングへと移行する … その結果、リバーシブル・コンピューティングはノンリバーシブル・コンピューティングに比べて、エネルギー需要を10億分の1に削減する可能性がある。…したがって、ナノテクノロジーが発展を極めた段階では、各ビットスイッチに必要なエネルギーは1兆分の1に削減されることになる。−−−−レイ・カーツワイル
本当でしょうか?1兆分の1ということは、メモリの単位で言えば、ペタバイト級のクラウドストレージとフロッピー・ディスクとの比ぐらいあります。
可逆プログラミング言語
余談4:構造化定理
- 任意の流れ図は,分岐と1つの繰り返しをもつ流れ図に変換できる.
- エドガー・ダイクストラが提唱した構造化プログラミングの理論的基礎
- 可逆版の構造化定理を発表(2008年)